有限会社ダンテプロゲット
代表取締役　國武 建明（くにたけ けんめい）
さいたま南倫理法人会　相談役

私は1992（平成4）年、イタリアンレストランを経営している40代のときに、お誘いを受けて入会しました。その後、さいたま南倫理法人会（単会）や埼玉県倫理法人会でも役職を任せていただき、現在は、さいたま南倫理法人会の相談役として、多くの会員様や運営メンバーと共に活動を続けています。

倫理法人会入会で、夜型の生活を朝型に180度転換

入会当時は、典型的な昭和の親父。「レストランで料理を作るのが俺の仕事だ」と、こども2人の子育ては女房にまかせっきりで、ランチタイムからディナーまで店で働き、深夜12時からは、若い従業員を家に連れて帰り、朝まで飲んでから寝る、という生活を送っていました。仕事と酒が98％を占め、家族は2％でした。

そんな私が、入会後はその生活を一変。朝の5時に起きてモーニングセミナーに通いはじめたのです。そこで聞く話や、多くの経営者との出会いに刺激を受け、活動に積極的に参加するようになりました。

本業のイタリアンレストランも、ランチや夜のコース料理が好評で大忙し。お客様のご要望で、コース料理と同じのデザートをお土産に持ち帰れるようにするなど、経営は順調でしたが、唯一の難点は店舗が4階にあるということ。倫理法人会で店舗の移転について相談するともなく話をすると「店舗に感謝をして掃除をしなさい」、「早起きをしなさい」、「奥様にきちんと挨拶をしなさい」と3つの助言を受けたので、それを実践したのです。

それからほどなくして、故郷・熊本で長く患っていた父の容態が急変し、他界。10日間もの長い時間を帰省先で過ごしたのは、18歳で故郷を離れて、初めてのことでした。ひと段落して戻ると「浦和に小さなテナントが空いた。店をやってくれないか？」という話をいただき、私はかねてから挑戦したかった無添加のチーズケーキの店「Dante（ダンテ）」をオープンすることに決めました。これが倫理に入会してちょうど1年後のことです。

実は、レストランを開店するときに、有限会社を作っていたのですが、経営者という自覚は無く、オーナーシェフとして、全て自分の裁量で判断をしていました。ところが、チーズケーキの新店舗オープンにあたっては、従業員や女房に「どうしたらいいと思う？」と意見を聞き、相談することができるようになっていました。これには私自身が一番驚きました。倫理法人会で学ぶようになって、経営者としての自覚が出てきたことを実感した出来事です。

振り返ると、父に心配ばかりかけていた私が、倫理に入会したことで生活や家族との関係を見直し、経営者としての在り方を考え始めたことで、父も安心して往生することができたのではないかと思います。

おかげさまで「Dante」は開店当初より多くのお客様に、ご贔屓にしていただき、行列ができる店になりました。2年後には本腰を入れる覚悟で、イタリアンレストランを閉店。賞をいただいたり、テレビなどのメディアに取り上げられたりして、生産が追いつかなくなり、深夜から早朝まで働いたこともありました。
現在は3店舗を経営し、嬉しいことに長女夫婦が1店舗の運営を担ってくれています。

日本の酪農の未来を考えるということ

最近の関心事は、日本の酪農の未来です。倫理に入会して数年経った頃、モーニングセミナーで「あなたの会社はなんのためにあるのか？」と聞かれ、それについて深く考えたことがなかった私は、折に触れて考えるようになりました。

そんなときに、ふと「どうして生クリームは、クリーム色ではなく白色なのか？」ということが引っ掛かり、当時近所にあった牧場を訪ねてみました。そこで聞いた酪農の現実と牛乳の加工処理方法の話をきっかけに、休みを使っては東京のJAで調べ物をし、本物の牛乳を求めて、全国の牧場を訪ね、ようやく3軒の仕入れ先に出会うことができました。2000（平成12）年のことです。
本物の牛乳と生クリームを使ったチーズケーキを通じて、日本の酪農の未来や、人の健康と食の安心について、これからも貢献していきたいと考えています。

倫理法人会に入会して、私には経営者としての自覚が生まれました。夜型だった生活を朝型に切り替え、家族や従業員にも感謝をすることで、よい関係を築けています。活動に興味を持たれた方は、ぜひモーニングセミナーやお店まで、お気軽にいらしてください。